内祭について

神殿祀り


お神札について

一年間おまつりした神札は神社におさめます
年末になりますと、神社から新しいお神札が配られます。伊勢の神宮のお神札(神宮大麻)と氏神さまのお神札です。受けたお神札はふつう床の間にしばらく置き、家中の大掃除をして、神殿もきれいにしてから納めます。古いお神札は、神社の古い札納所へ納めます。この古いお神札は、一般にお正月のお飾りなどとともに、清らかな火で焼き上げられます。この行事は、地方により「どんど焼き」とか「左義長」といわれ、民間行事として有名になっているものもあります。

ではどうして、毎年お神札やお守りを新しくするのでしょうか。このことは、お正月に神さまが家々を訪ねるという信仰に関係があります。毎年神さまを迎えるにあたり、門松を立て、地方ではお正月棚を飾ります。門松は、松と竹を中心に青々ときれいに飾ります。お正月棚を吊るところは、もう少なくなってしまいましたが、座敷の中央に恵方から歳神さまが、やってこられるというからです。お正月棚には、真白い御幣、真新しい注連縄を張り、鏡餅やいろいろのお供えがなされます。神さまをもてなすのですから、やはりきれいで清々しくなくてはなりません。新しいものなら、なお結構です。

私たちは、新しいもの、若々しいもの、明るいものを古来尊重してきました。これらのものに宿る生命の息吹を感じ、躍動する精気を尊び大切にしてきたのです。しかし、一般の家庭の神殿や神社の社殿を毎年新しくすることは不可能といえます。ですから、できるだけ美しく清々しく保とうとします。生命が枯れないように努力します。

伊勢の神宮では式年遷宮(しきねんせんぐう)といって、20年毎に社殿や神さまの御装束・神宝など一切のものを新しくするという祭儀があり、もう1300年もの間続いています。こうした20年毎の制度が生まれて、この一大祭儀が長い間たくさんの人々の努力によって守り続けられてきたのは、常に若い生き生きとした、生命の輝きを最も大事なもととしてきた結果でしょう。古くなり、色あせてしまうから20年毎に新しくし、生命のよみがえりを信じて行ってきたのです。

当然のことながら、建物が新しくなれば、神さまの力もよみがえります。毎年、私たちの家庭でも、同じことを繰り返しているわけです。神殿を清め、新しいお神札をおまつりすることによって、神さまの力がよみがえり、そのおかげで家族みんなが、はつらつとして生きる力に満ちてくるのです。もちろん、そこには、お正月に神さまが訪れるという信仰が生きているのです。

お守りはいくつあっても大丈夫?
八百万の神(やおよろずのかみ)という言葉があるように、日本には多くの神さまがいらっしゃいます。神社のお神札やお守りに願いを託している人も多いことでしょう。そこでどうしても心配してしまうのが、神さま同士がケンカしてしまうのでは、ということです。でも大丈夫です。神さまはそれぞれの御神徳をもって、協力して守ってくださいます。

また、お神札を一家でおまつりするのに対して、お守りは、私たち一人ひとりが身に付けるものです。お神札のように一年ごとに新しく受けてもよいし、願いがかなうまで身に付けていてもよいでしょう。

御守

参考文献
家庭のまつり(神社本庁)
生活の中の神道(神社本庁)
神社有職故実(神社本庁・八束漬貫著)
神さまと暮らす(神社本庁)